| ■ ようこそ 天理に |
乳癌は他の疾患に比較して治療の手だてが沢山あります。
これは、各人に最適な治療を決定する際に、考慮するべき点が多い事を意味します。
当院では乳癌治療のチームを1994年に結成し、個々の病状に関する医療情報を関連科が共有し、チームで協議の上、個々に最良の治療を決定しています。
今後も乳癌治療に関連する科と連携し、診断から治療を支援致します。
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当院は「患者中心の医療」を理念として創設され、1966年に現在の入院棟が開所しました。開所以降の乳癌治療は腹部一般外科が手術、放射線科が術後放射線治療を担当しました。
その後、1980年代に乳癌が全身病であると認識されるに伴い、手術は縮小し、術後の予防的な治療(補助全身療法、主に化学療法と内分泌療法)が普及しました。1990年代に入ると本邦でも乳房温存療法(乳房部分切除術+術後放射線療法)が認知され、病状に合わせて各種の治療(手術、放射線治療、内分泌療法、化学療法など)を組み合わせる治療に変ってきました。
このような乳癌治療の変化に適切に対応するには、外科のワクをこえた関連部門の協力が不可欠です。当院では1994年に、個々の乳癌患者さんに適切な治療を提案する院内乳腺グループ(下記)が発足しました。以降、乳癌の診療方針をチームの総意で提案するチーム医療を継続しています。
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本グループは乳腺外科の母体とも言えます。1994年に「乳癌診療に関わる医療従事者が医療情報を迅速かつ正確に共有し、個々の患者さんの治療上の利益を確保する」ことを関連科に呼びかけて、発足致しました。
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| __<参加部門> |
診断部門として、@研究所病理部門(病理検査、抗癌剤感受性試験を担当)、A放射線科診断部門(乳房撮影、MR、マンモトームを担当)、B臨床検査部門(乳房超音波検査、細胞診を担当)、治療部門としてC放射線科治療部門(放射線治療を担当)、D外科(手術、生検を担当)、の参加を得て活動を開始しました。
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| __<活動> |
グループによる活動は @症例検討会、A定期勉強会、からなります。
症例検討会では、毎週1回、関連部門が集まり、個々の患者さんに最適な治療方針をグループの総意として提言しています。具体的には、以下の通りです。
1)診断:乳房腫瘍例の超音波、乳房撮影、吸引細胞診の結果を提示し協議
2)乳癌例の治療方針:乳房温存療法の対象か否かを提案
3)手術標本の病理診断:全ての切除標本に関して、病理医が腫瘍の悪性度や受容体(ホルモン受容体、HER2)、断端(切口)への癌の波及、リンパ節転移の有無、などを提示し、最終診断をチーム全員が共有し、診療に反映させます。
4)放射線治療の適応:治療の対象を協議。
5)診療困難例の検討:診断および治療方針の方向性を決定。
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| __<結果> |
関連部門が正確な検査結果と最終診断を短期間に共有することで、検査に取り組む動機が向上し、患者さんにも正確な結果を迅速にお伝えすることが可能になりました。
その結果、グループ結成以降の乳房温存手術の成績(1994年から2005年)は
・乳房内再発 1.5 %
・無病生存率 92.5 %
・全生存率 94.3 %
と、内外の治療成績と比較しても良好な成績を維持しています。
さらに、最近では乳腺グループを母体として乳癌キャンサーボード(後述)を結成し、患者さんや御家族を対象にした活動を開始しています。
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その後、乳癌手術はさらに縮小しています。
リンパ節転移を伴わない場合は腋の下のリンパ節切除を『センチネルリンパ節生検』にとどめ、従来であれば乳房切除を受けていた進行乳癌には『前化学療法』を先行し、乳癌が縮小すれば乳房温存療法を選択するようになりました。乳癌治療は個々の病態に合わせて、異なった治療法を組み合わせる、ますます選択肢の多い領域に変っています。
このような変化に呼応して、2007年4月に「乳腺外科」が創設されました。
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| __<スタッフ> |
2010年4月に北野病院前乳腺外科部長から稲本俊先生、京都大学乳腺外科から仙田典子先生を迎え、現在、4名が乳腺外科専属で診療を行なっています。
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| __<手術> |
2009年の乳癌手術件数は120(124病変:同時両側4例)で、
乳房温存手術(注1) 74病変(温存率60%)
センチネルリンパ節生検(注2) 79病変(64%)
センチネルリンパ節同定率 97.6%
でした。
また、進行乳癌に対して術前化学療法を27例に行ない、腫瘍が縮小して温存手術を施行した方は11例でした。
一方、入院手術を希望されなかった早期乳癌2例に局所麻酔下の乳房部分切除を外来手術室で行ないました。
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| __<乳腺外科外来> |
平成22年4月現在、月曜から金曜まで初診と再診を行なっています。担当はこちらをご参照ください。
初診は紹介状持参を原則としています。初診予約を紹介医から当院地域連携室を介して予約する事が可能です。
乳腺外科診察予約:連携医から当院「地域医療連携室」にお申込み下さい。
地域医療連携室:TEL0743-63-5611(内線8786)
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| __<外来検査> |
マンモグフィー、超音波、細胞診を基本とします。
腫瘍を触知しない場合は、超音波ガイド下の吸引細胞診や吸引針生検、石灰化病変にはマンモトーム生検を行ないます。
乳癌が確定した場合は術式決定のためMR、CTを行ない、全身の評価のために骨シンチグラフィー、などを手術に 先立って外来で行ないます。
乳房の小病変で、診断を確定するために切除希望がある場合、外来手術室での「日帰り手術」を行なうことがあります。
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| __<入院手術> |
乳癌が判明した場合、標準治療に従って治療を提案致しますが、ご本人の御希望を尊重して最終的な治療法を決定致します。
通常、入院日(手術の数日前)と手術日を予め決定しています。入院期間は手術の内容によって変動がありますが、術後1週以内での退院を目標とします。
手術標本の病理検査(顕微鏡による評価)が全て判明するのに約2週間かかりますので、その結果は外来で説明致します。
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| __<外来治療> |
手術以外の治療は外来で行ないます。
病理検査での再発危険因子(腫瘍の大きさ、リンパ節転移の有無、組織学的悪性度、など)と効果予測因子(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2、など)をふまえて治療を組み合わせます。
化学療法(抗癌剤治療)は外来化学療法室を利用して、外来通院で行ないます。抗体療法(ハーセプチン)は初回治療のみ入院で行ない、以降は化学療法に準じて外来で継続します。いずれの場合も副作用の有無を確認し、体調に合わせて治療を行ないます。
内分泌療法は閉経状況に合わせて薬剤を選定し(通常、閉経前は抗エストロゲン剤、閉経後はアロマターゼ阻害剤)内服5年を基本とし、閉経前の場合は皮下注射を2年行なう場合があります。
放射線療法は乳房温存手術では併用を原則とし、それ以外では病理所見によって必要時に提案致します。
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| __<術後の定期検査> |
術後の定期診察は10年が必要です。特に前半の5年は治療期間であることが多く、定期的な検査を予定たします。
状態が安定している場合は近隣の医療施設と連携し、共同で診療を継続します。
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| __注1) 乳房部分切除 |
乳癌を含む乳腺を、クサビ状に1/4切除(乳房楔状切除)あるいは、乳癌とその周囲1.5から2cmの乳腺を切除(乳房円状切除)する手術です。
<候補>
術後の癌の取り残しや、乳房内再発を少なくするために、術前に以下を満たす方が候補になります。
・乳癌が3cm以下(術前化学療法で腫瘍が縮小した場合を含む)
・多発の所見がない(単発)
・広汎な乳管内進展がない
・術後に放射線療法が行なえる(外来通院、25回が基本)
・乳房温存の希望がある
<乳房温存療法は放射線療法がセットです>
乳房部分切除は放射線療法と併用して、乳房(全)切除と同等の成績が得られます。以下は切口(断端)に癌が及んでいない場合の成績です。
乳房内再発 (10年)
乳房部分切除+放射線 2- 4 %
乳房部分切除のみの場合 10-20 %
< 乳管内進展>
乳癌が乳管(乳汁を乳頭に運ぶ管)に沿って広がる状態で、約半数の方に認めます。病理検査(顕微鏡の検査)で術前の予想を超えた進展があり、後日の乳房内再発の原因になりえます。
断端陽性:病理検査で、手術した乳腺の切口(断端)に乳癌が及ぶ状態で、最も多い原因は乳管内進展です。多方向で断端陽性の場合、放射線療法を併用しても乳房内再発は30-40%と極めて高率で、追加切除(部分-乳房全切除)を考慮します。
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| __注2)腋窩リンパ節に対する手術 |
1 腋窩リンパ節郭清:リンパ節転移がある場合、標準的治療です。
この場合の目的は腋窩の治療、悪性度の評価(予防治療の判断材料)ですが、合併症としてリンパ浮腫をともなう事があります(約30%)。
2 腋窩リンパ節郭清の省略:大規模な臨床試験の結果が未だ出ていませんが、
術前評価でリンパ節転移を認めず、センチネル・リンパ節(下記)の生検で転移がない場合、腋窩リンパ節郭清の省略が普及しています。
1)センチネル・リンパ節:癌が最初に転移すると想定されるリンパ節
2)センチネル・リンパ節生検
<対象>
1)3cm以下の腫瘍
2)術前にリンパ節転移を認めない方
<方法>
当院は色素法(ICGの蛍光法)を採用しています。
術中:
1)乳房に色素を注入し、
2)腋窩に小切開をいれ、
3)最初に染まるリンパ節を見つけ(2009年の同定率:97.6%)
4)迅速病理検査を行なう
>腋窩リンパ節郭清を省略する場合
○迅速病理検査したセンチネル・リンパ節に転移がない
>腋窩リンパ節郭清を行なう場合
●迅速病理検査したセンチネル・リンパ節に転移がある、か
●センチネル・リンパ節を同定できない場合
<問題点>
1)色素によるアレルギー、ショックの可能性
術中の迅速病理検査で「センチネル・リンパ節転移なし」の報告でも
2)術後の固定標本で、センチネルリンパ節転移が判明する事がある。
3)温存したリンパ節に転移している事がある(約7%)。
再発時(実際には1?3%)に改めてリンパ節廓清を行なう。
(詳細は担当医にご確認下さい)
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前述の乳腺グループを母体として、幅広い知識と経験を医療者のみならず一般の方と共有する事を目的に結成致しました。
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| __<参加部門> |
乳腺グループを母体とし、
・看護部:病棟、外科外来
・緩和ケアチーム
・地域医療連携室
を加えて乳癌キャンサーボードを発足させました。
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| __<活動> |
術後のケアのみならず、乳癌の啓蒙を目的に、患者さんや家族、医療関係者を対象にした公開勉強会を企画し有用な情報を提供しています。
最近の乳腺公開勉強会のテーマは
・2010年4月:化学療法中の頭皮ケア
・2010年7月:リンパ浮腫、化学療法下の食事(予定)
です。
公開勉強会は乳腺外科外来、地域医療連携室で広報致します。通常、会場は当院外来棟で、入場は無料です。参加者のアンケート結果を参考に公開勉強会のテーマを決定しております。
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シニアレジデント研修(後期臨床研修)カリキュラムはこちらです(クリックしてください)
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