● 呼吸器外科(旧胸部外科) 外来担当表へ

■ 特色
 地域の基幹病院として胸部呼吸器領域全般に関する外科的治療を手掛けています。疾患と治療方法については十分な説明を行い、理解・納得していただいた上で治療方針を決定することを心掛けています。対象とする疾患は、肺癌・縦隔腫瘍などの腫瘍性疾患、気胸・肺嚢胞症などの嚢胞性疾患、膿胸・肺真菌症・肺抗酸菌症などの炎症性疾患、漏斗胸、手掌多汗症などです。当院は全科を擁している総合病院であり、疾患が多分野にわたる治療を必要とする場合や、種々の合併症をもっておられる方でも各専門科と緊密な連携をとって診療に当たっています。
■ 概要
 2001年の年間全身麻酔手術症例数は256例で、主疾患はは原発性肺癌115例、転移性肺腫瘍7例、肺良性腫瘍8例、気胸37例、巨大肺嚢胞症5例、縦隔腫瘍12例、膿胸・肺真菌症・肺抗酸菌症などの感染症に対する手術15例、びまん性肺疾患に対する肺生検18例、手掌多汗症に対する胸部交感神経切断術4例、漏斗胸の手術1例、リンパ節生検4例などです。

★肺癌手術に関してはスタンダードな手術術式を基本としています。例えば肺機能が低い場合には肺区域切除や部分切除といった縮小手術を選択したり、他臓器への癌の浸潤が存在しても完全切除が可能と考えられる場合は合併切除などの拡大手術を施行するなど、それぞれの患者様の全身状態と病状を十分検討したうえで患者さまの自己決定権を尊重し十分な話し合いの後手術術式を決定しています。
また、手術の根治性が損なわれない場合には気管・気管支形成術や血管形成術も行って、術後の肺機能をできるだけ温存するように努めています。肺癌手術症例の5年生存率はIA期76%、IB期60%、IIA期50%、IIB期47%、IIIA期18%でした。縦隔リンパ節転移陽性症例等の進行肺癌症例に対しては当院呼吸器内科、放射線科とも連携して、化学療法や放射線療法を併用した集学的治療も行っています。また切除不能な症例においても、気道狭窄・閉塞がある場合はレーザー焼灼術やステント留置術を行ったり、癌性胸膜炎による胸水貯留がある場合には胸水ドレナージや胸膜癒着術を、癌性心膜炎による心タンポナーデに対しては心嚢ドレナージや心膜開窓術を行うなど、QOLの向上を考慮した治療を実施しています

★自然気胸に対しては、まず脱気用のチューブを胸腔内に留置してドレナージを行って虚脱した肺の再膨張を図りますが、肺膨張の悪い症例や空気漏れが長期にわたって持続する症例、再発の症例、初発でも再発率の高いと考えられる若年者症例に対しては手術を行っています。最近の自然気胸手術症例の術後再発率は約6%でした

★従来の開胸手術に比べて、術創が小さくてすみ術後疼痛も軽度な胸腔鏡を活用した手術を積極的に取り入れています。2001年の自然気胸手術全37例のうち、胸腔鏡下手術は33例、胸腔鏡を併用した小開胸での手術は7例でした。気胸以外の手術においても胸腔鏡を活用しており、気胸を除いた全手術症例203例のうち28例は胸腔鏡下手術、42例は胸腔胸を併用した開胸手術でした。

★炎症性疾患:内科的治療のみでは治癒困難な膿胸や肺真菌症、肺抗酸菌症などの炎症性疾患の症例に対しても外科的治療を行っています。疾患の程度と全身状態を十分考慮した上で、胸膜肺全摘術、肺切除術、肺剥皮術、胸郭形成術、筋弁充填術、有茎性大網弁充填術、胸腔鏡下郭清術、開窓術などから最も適していると考えられる治療方法を選択しています。特に、有茎性大網弁を用いた手術方法に関しては当院が本邦におけるパイオニア的存在であり、豊富な臨床経験と実績をもっています

★重症筋無力症に関しても神経内科と連携の上、適応症例に対する拡大胸腺切除術を行っています。標準的な方法ではありませんが、拡大胸腺切除を行った上でさらに周囲の縦隔脂肪組織を超音波吸引手術装置(CUSA)で可及的に吸引することで、可能な限り異所性に存在している胸腺組織を除去して手術の効果をあげる試みを行っています

★手掌多汗症に対しても、高い症状の改善率が得られる胸腔鏡下胸部交感神経切断術を通常約3日間の入院で行っています。


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