1. 食道
食道癌に対しては外科的切除(胸腔鏡/腹腔鏡併用を含む),放射線治療,内視鏡治療,化学療法などガイドラインに沿った治療を行っています.診断には超音波内視鏡(EUS)や, NBI, FICE拡大内視鏡,CT,MRI,PETなどを用いて治療前診断および経過観察を行います.
食道癌の化学放射線治療の経験は全国有数で,早期癌症例に対するEMR, ESDなど低侵襲の内視鏡治療はもちろん,集学的な治療を必要とする様々な病期の食道癌について,放射線科,外科,内科合同の食道カンファレンスで検討し,治療の個別化を図っています.病状に応じて,局所再発への内視鏡治療や内視鏡下胃瘻造設,放射線科と協力してステント留置にも対応しています.
アカラジアに対しては内科で薬物療法およびバルン拡張術を施行しており,合併率の高い食道癌の早期発見を心掛けています.必要な時期に適切な外科治療をおこないます.
2. 胃・十二指腸
胃,十二指腸潰瘍に対してはヘリコバクタ・ピロリ菌に対する一次・二次除菌治療を積極的に行っています.
早期胃癌のうち「超早期」の粘膜内癌に対し積極的に内視鏡的治療を展開しています.2005年5月より根治性の高い新しい内視鏡治療法である内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を導入し,発見率の向上,地域の先生方からのご紹介の増加により2008年9月現在までに約280例を経験し良好な治療成績をあげています.
内視鏡治療が不可能な胃癌症例に対しては腹部一般外科と綿密な症例検討を行い外科的手術(腹腔鏡手術,開腹手術),化学療法などの治療方針をたて連携して治療に取り組んでいます.
3. 肝疾患
最も外来患者さんが多い疾患です.B型肝炎に対してはエンテカビルなどの抗ウィルス剤を積極的に使用しています.C型肝炎に対しては,「奈良県肝炎治療特別促進事業」の中核医療機関として積極的にインターフェロン治療を行い平成20年4月の事業開始以来半年で60人以上の患者さんがこの制度を利用してインターフェロン治療を始めておられます.通院の負担を軽減するため,毎週1回のインターフェロン注射は自宅や勤務地に近い診療所,1ヶ月に1度の診察は天理よろづというような病診連携に積極的に取り組んでいます.
肝癌の診断は造影超音波, 造影CT, 造影MRI,血管造影検査を積極的に行い総合的に行っています.個々の症例毎に外科,放射線科と十分な検討をした上で治療方針を決定し,手術(外科),カテーテルによる動脈塞栓治療,リザバー動注(放射線科),RFA(ラジオ波熱凝固療法;内科)を組み合わせた総合的治療を目指しています.最近1年間(平成19年9月−20年8月)のRFA件数は延べ110件でした.
肝硬変の最も重篤な合併症のひとつである食道・胃静脈瘤に対しては病態に応じて,硬化療法・結紮療法など内視鏡治療,B-RTOなどのカテーテルを用いた治療(放射線科)を行っています.
4. 胆・膵疾患
胆石症は総胆管結石(非常に大きなものや沢山あるものは除きます)は消化器内科で内視鏡的採石(EST,EPBD)を行い,胆嚢結石は外科で手術治療を行います.緊急処置を要する閉塞性胆管炎に対しては夜間,休日でも内視鏡的胆管ドレナージ術(ENBD,ERBD)および全身管理を行っています.手術ができない悪性腫瘍の閉塞性黄疸に対しては胆管ステントを留置して生活の質を維持できるようにしています.
膵癌,胆管癌など悪性腫瘍の治療については外科・内科で検討し手術や化学療法の治療方針を立てています.化学療法は基本的に外来で行っています.
5. 大腸
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患は,現在200名以上の患者さんが通院中です.炎症性腸疾患は原因がまだよく解っていないため治療が難しい難しいことがありますが,従来からの薬物療法,栄養療法に加え,新しい抗TNFα抗体(レミケード),免疫調整剤の投与や,白血球除去療法などを組み合わせて,疾患のより良いコントロールを目指しています.レミケードの注射や白血球除去療法などは患者さんが慣れてこられればできるだけ外来で行っています.
なお当院では,従来の検査法では到達できなかった小腸病変も,バルン内視鏡等を用いて診断,治療が可能になっています.
大腸腫瘍に対しては下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)だけではなく,各種検査(拡大内視鏡検査, CT,FDG-PETなど)を加え,病変の進行度を適切に評価した上で,内視鏡治療,外科的治療,全身化学療法の方針を判断しています.
大腸カメラ検査時に治療が必要と判断したポリープなどの病変は,可能な限り検査と同時に治療を行う方針を取っています.
手術が必要な大腸癌などの腫瘍は内科・外科・放射線科の総合カンファレンスで症例毎に手術(腹腔鏡,開腹)治療,化学療法などの最適な治療方法を決定しています.
手術による根治切除(とりきること)が困難な進行大腸癌に対しては,QOL(生活の質)向上を目的として外来での抗癌剤治療を積極的に行っています.