●消化器内科 外来担当表へ
 ■ 特色
奈良県の基幹病院の一つとして消化器疾患全般にわたり専門的診療を行っています.診療は1)生活の質(QOL:quality of life)を最重視し,2)インフォームド・コンセント(説明と同意)のもとに行っています.3)各分野の専門医を中心に外科,放射線科と症例検討を行い,4)各学会のガイドラインを尊重しながら,5)患者さんの年齢,体力,生活などを参考にして複数の医師が総合的に判断しチーム医療を行うように努めています.

当院は最新のMDCT, MRI, PET-CTをはじめとするRI機器,超音波検査機器、消化管内視鏡などを備え多くの分野の専門家が共同で診療を行っています.

当院は保険診療を基本としておりますので,保険外の先進的医療や癌化学療法は行っていません.

 ■ 外来
 初めての患者さんは,紹介状がない場合はまず総合外来を受診いただき,必要に応じて専門外来を受診いただきます.紹介状がある方は初めから専門外来を受診いただけますので,できるだけ紹介状をご持参下さい.専門外来は月曜から金曜までの週5日,予約と紹介の患者さん中心に行っています.臓器別の専門外来は設けていませんが,まれな疾患や専門的な知識が必要な疾患はできるだけ専門医が診療するようにしています.

多くの方に入院治療を受けていただくため,できる限り外来で治療・検査を行い入院期間を短縮するよう心がけています.年間約1,100件ある大腸ポリープの内視鏡治療のうち90%は外来で行っており,癌の化学療法もできるだけ外来で行っています.当院では,癌と診断されて他院からご紹介いただいた方の検査と治療が優先になりますので,検診目的の検査をご希望の方は,検査待ちが大変長くなります.まず他施設で検診検査を受けられますようお勧めいたします.

なお外来検査は外来棟の場合と,本館(入院棟)の場合がありますのでご注意ください.内視鏡検査(胃・大腸カメラ)は本館(入院棟)で行っています.

 ■ 入院
入院待ちの期間が長く患者の皆さんにご迷惑をおかけしています.入院中の患者さんの診断・治療方針の決定はすべて複数の医師の検討によって行っています.若手医師が担当する場合は必ず専門の上級医と相談して診療に当たります.入院中の検査や治療も高度のものは担当医が行うのではなく専門医が行うようにしています.限られた病床を有効に利用し,入院待ちが長くなるのをさけるため,休養や検査目的の入院はお引き受けできませんのでご了承ください.
 ■ 症例数(平成19年度)
年間外来患者数 延べ400,627人
入院患者総数 延べ19,761人
平均在院日数 15.4 日
内視鏡件数(平成19年) 計11,845件
上部内視鏡(胃カメラ) 7,147 (うち治療698) 他にESD: 88
下部内視鏡(大腸カメラ) 3,935(うち治療1,103)
ERCP 490(うち治療222)
EUS 185
 ■ 臓器別の診療内容

1. 食道

食道癌に対しては外科的切除(胸腔鏡/腹腔鏡併用を含む),放射線治療,内視鏡治療,化学療法などガイドラインに沿った治療を行っています.診断には超音波内視鏡(EUS)や, NBI, FICE拡大内視鏡,CT,MRI,PETなどを用いて治療前診断および経過観察を行います.

食道癌の化学放射線治療の経験は全国有数で,早期癌症例に対するEMR, ESDなど低侵襲の内視鏡治療はもちろん,集学的な治療を必要とする様々な病期の食道癌について,放射線科,外科,内科合同の食道カンファレンスで検討し,治療の個別化を図っています.病状に応じて,局所再発への内視鏡治療や内視鏡下胃瘻造設,放射線科と協力してステント留置にも対応しています.

アカラジアに対しては内科で薬物療法およびバルン拡張術を施行しており,合併率の高い食道癌の早期発見を心掛けています.必要な時期に適切な外科治療をおこないます.

2. 胃・十二指腸

胃,十二指腸潰瘍に対してはヘリコバクタ・ピロリ菌に対する一次・二次除菌治療を積極的に行っています.

早期胃癌のうち「超早期」の粘膜内癌に対し積極的に内視鏡的治療を展開しています.2005年5月より根治性の高い新しい内視鏡治療法である内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を導入し,発見率の向上,地域の先生方からのご紹介の増加により2008年9月現在までに約280例を経験し良好な治療成績をあげています.

内視鏡治療が不可能な胃癌症例に対しては腹部一般外科と綿密な症例検討を行い外科的手術(腹腔鏡手術,開腹手術),化学療法などの治療方針をたて連携して治療に取り組んでいます.


3. 肝疾患

最も外来患者さんが多い疾患です.B型肝炎に対してはエンテカビルなどの抗ウィルス剤を積極的に使用しています.C型肝炎に対しては,「奈良県肝炎治療特別促進事業」の中核医療機関として積極的にインターフェロン治療を行い平成20年4月の事業開始以来半年で60人以上の患者さんがこの制度を利用してインターフェロン治療を始めておられます.通院の負担を軽減するため,毎週1回のインターフェロン注射は自宅や勤務地に近い診療所,1ヶ月に1度の診察は天理よろづというような病診連携に積極的に取り組んでいます.

肝癌の診断は造影超音波, 造影CT, 造影MRI,血管造影検査を積極的に行い総合的に行っています.個々の症例毎に外科,放射線科と十分な検討をした上で治療方針を決定し,手術(外科),カテーテルによる動脈塞栓治療,リザバー動注(放射線科),RFA(ラジオ波熱凝固療法;内科)を組み合わせた総合的治療を目指しています.最近1年間(平成19年9月−20年8月)のRFA件数は延べ110件でした.

肝硬変の最も重篤な合併症のひとつである食道・胃静脈瘤に対しては病態に応じて,硬化療法・結紮療法など内視鏡治療,B-RTOなどのカテーテルを用いた治療(放射線科)を行っています.


4. 胆・膵疾患

胆石症は総胆管結石(非常に大きなものや沢山あるものは除きます)は消化器内科で内視鏡的採石(EST,EPBD)を行い,胆嚢結石は外科で手術治療を行います.緊急処置を要する閉塞性胆管炎に対しては夜間,休日でも内視鏡的胆管ドレナージ術(ENBD,ERBD)および全身管理を行っています.手術ができない悪性腫瘍の閉塞性黄疸に対しては胆管ステントを留置して生活の質を維持できるようにしています.

膵癌,胆管癌など悪性腫瘍の治療については外科・内科で検討し手術や化学療法の治療方針を立てています.化学療法は基本的に外来で行っています.

5. 大腸

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患は,現在200名以上の患者さんが通院中です.炎症性腸疾患は原因がまだよく解っていないため治療が難しい難しいことがありますが,従来からの薬物療法,栄養療法に加え,新しい抗TNFα抗体(レミケード),免疫調整剤の投与や,白血球除去療法などを組み合わせて,疾患のより良いコントロールを目指しています.レミケードの注射や白血球除去療法などは患者さんが慣れてこられればできるだけ外来で行っています.

なお当院では,従来の検査法では到達できなかった小腸病変も,バルン内視鏡等を用いて診断,治療が可能になっています.

大腸腫瘍に対しては下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)だけではなく,各種検査(拡大内視鏡検査, CT,FDG-PETなど)を加え,病変の進行度を適切に評価した上で,内視鏡治療,外科的治療,全身化学療法の方針を判断しています.

大腸カメラ検査時に治療が必要と判断したポリープなどの病変は,可能な限り検査と同時に治療を行う方針を取っています.

手術が必要な大腸癌などの腫瘍は内科・外科・放射線科の総合カンファレンスで症例毎に手術(腹腔鏡,開腹)治療,化学療法などの最適な治療方法を決定しています.

手術による根治切除(とりきること)が困難な進行大腸癌に対しては,QOL(生活の質)向上を目的として外来での抗癌剤治療を積極的に行っています.

 ■ 消化器内科領域の救急について
通院中の患者さんの消化管出血(胃十二指腸潰瘍,食道・胃静脈瘤破裂,大腸潰瘍性病変など),閉塞性黄疸や腸閉塞に対しては夜間,休日にも対応するようにしています.

最近は患者さんの高齢化に伴い抗凝固剤を服用している患者さんが増え,消化管出血が多く見られます.胃,十二指腸潰瘍出血などの消化管出血に対しては24時間オンコール体制で緊急内視鏡検査および止血術を行っています.

胃十二指腸潰瘍出血には電気的な熱凝固治療や薬剤の局所注入,食道・胃静脈瘤破裂には緊急結紮療法や硬化療法をおこないます.閉塞性胆管炎,黄疸に対しては十二指腸から内視鏡的なドレナージ術,大腸の閉塞には経肛門的イレウスチューブ挿入等を行っています.救急治療は瞬時の判断力と高度の技術が必要で,看護師,検査・放射線技師と医師が共同でチーム医療を心がけています.

 ■ 学会認定など
 
下記学会の専門医、指導医が常勤しています.

日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本超音波医学会、日本食道学会、
日本肝臓学会、日本大腸肛門病学会


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