■ 総合診療方式による独自のレジデント制度

当院では昭和51年、全国に先駆けて総合診療方式による研修制度をスタートさせました。従来の専門科をローテートする研修方式では、臓器別の診療になり、総合的に患者様を診るトレーニングにはならないという反省から生まれたものです。

 レジデントの研修の中心となる総合病棟には、内科各科や腹部一般外科などの患者様が入院します。研修医は総合病棟で同時にいろいろな患者様を各専門科の指導医と受け持ちます。
 また、当初は狭心症で入院した患者様でも何かほかの病気が見つかれば、総合病棟で開かれるほかの専門科のカンファランスに症例を呈示します。そうすれば、各専門科の部長から検査や治療に関する適切な指示がもらえます。研修医は自分で新たな問題点を見つけて自分で解決していくわけです。

 各専門科をローテートする研修方式の場合、循環器内科で糖尿病が見つかると内分泌内科に受診し、あとはその科に任せることになります。ところが、総合診療方式だと、循環器的な問題が解決しても、患者様はそのまま総合病棟に入院したままで、所属する科が内分泌内科に変わるだけです。受け持ちの研修医はそのままで、糖尿病のコントロールができるまで受け持ち医から外れません。

 こうして、総合病棟での研修は、多角的に診ることで自然に総合診療的な能力が身につきます。それだけでなく、問題を発見して解決がつくまで一貫して受け持ち医として担当することで問題解決能力も養われるわけです。

 総合診療教育部のスタッフは私を含めて3名です。直接レジデントの教育にもあたるほかに、研修医の受け持ち患者様の調整、研修環境のチェック、研修プログラムの立案などの仕事にかかわっています。

        

総合診療教育部部長
郡 義明

この10年間で医学に関する知見は飛躍的に増加しました。
私たちの時代に5年かかって習得したことを今の時代には2年でマスターできるようにしなければ、時代のニーズに対応できません。エッセンスをいかに上手に教えるか、教育のスキルが、私たちに一層強く求められています。これからは医師の中にも勝ち組と負け組が出てきます。臨床をやるならきちんとした臨床能力を身につけておかなければなりません。逆にそれがあればどこでも通用します。当院でぜひ、本物の臨床能力を磨いてください

●教育に関する行事

教育講義・・・・週2回、1時間30分、年間約80回。1年次ジュニアレジデントを対象に、専門科スタッフやシニアレジデントが行う。早朝症例カンファランス毎朝7時半から1時間、ティーチングスタッフやシニアレジデントを交えて総合病棟入院症例中心にディスカッションする。レジデントが自分自身の診療方針を持ち、スタッフのコンサルテーションを受けられるようになるのが目標である。

RCB(Resident Coffee Break)・・・・週 1回、レジテント関係者全員が集まり、ジュニアレジデントとシニアレジデント各1題の研究発表を行う。引き続き行われる連絡会は各種連絡事項の伝達のほか、レジデントに関わる重要事項についての討論、決定の場。

胸部X線カンファランス・・・・隔週1回約1時間、ジュニアレジデントのための、胸部X線の読影力トレーニング。

外科術後カンファランス・・・・毎週土曜日の外科回診後に行う。レジデント自身の司会で間題症例の検討、文献抄読、月間入退院症例の概括などを行う

CPC・・・病理部門の全面的な協力、援助のもとレジデントが中心になって企画運営し、年数回開催。

医学英語教室(準公式カリキュラム)・・・・週1回外国人講師を招いて開催。

●研修スケジュール(例)

総合病棟研修(主として内科) 11ケ月、麻酔科研修 4ケ月、外科研修(腹部外科あるいは呼吸器外科) 2ケ月 、小児科研修 2ケ月、 ICU・循環器科研修 2ケ月、精神科研修 1ケ月、 産婦人科研修 1ケ月、 診療所研修 1ケ月など 


勤務時間及び処遇 

勤務時間:8時30分〜17時
 ※ただし、レジデントは24時間オンコールの精神で研修に務めるものとする。
社会保険:研修期間中は健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に加入
宿舎:独身者はレジテント専用宿舎に入居するのが原則(有料)。
食事::院内職員食堂を利用(有料)

研修修了後の進路

当院にはシニアレジデント制度があり、内科系3年間、外科系4年間の臨床を中心とした専門医教育のプランもあわせて実施している。ただし、臨床研修修了後シニアレジデントに進むには、改めて採用試験を受けなけれぱならない。

研修医に聞く

『先輩やコメディカルから医療人の生き様を学ぶ』
  ジュニア・シニアレジデント終了 近藤博和氏
 当院ではジュニアレジデントを2年、その後シニアレジデントを3年経験しました.
振返るとジュニアレジデントとしての2年間には、知識や手技というより、医師としての心構えやコメディカルとの対応、あるいは医師として困難に直面したときの局面の切開き方といったものを学んだように思います.特に総合病棟では11ケ月間にわたって先輩医師やコメディカルの人達から医療人としての生き様を教えられました.

『基本的なスタンスや考え方がしっかり身につく』
  シニアレジデント2年目 井上信明氏
 卒業するとき、小児科専攻を考えていたのですが、大学ではローテートもないので不安がありました.幅広く患者さんと向合って経験できるところをいろいろ探し、この病院のジュニアレジデントになった次第です.
 ここでの研修は、身体も使うけど思考を徹底的に鍛えるものです.ジュニアレジデントでは、医師としても基本的なスタンスや姿勢を学ぶことが中心で、患者さんとのコミュニケーションや他科へのプレゼンテーションなどはたいへん勉強になりました.また、スタッフのドクターがみなさんとても優秀で、物の考え方など強い影響を受けました.患者さんを大切にする姿勢もほかとちょっと違っており、医師としてスタートを切るにはもってこいでしょう.
 私は、その後他の病院で2年間救急医療を中心に臨床研修を受け、2年前から再び当院のシニアにもどって来ました.
 シニアは外来を担当し、入院から退院まで一連の流れの中で学ぶことがより多くなります.またジュニアへの指導も大きな役目.先輩のシニアから懇切丁寧に教えてもらったことを思いだし、相談やサポートを心がけています.

『手取り足取りでなく、まずやってみろという感じ』
  ジュニアレジデント2年中村陽子さん
 大学での研修はストレート方式がほとんどで偏りがありますし、プログラム自体まだまだ整っていません。市中病院でも指導医が不足するところが多い中、当院は臨床研修の実績が豊富で、見学したときの雰囲気もたいへん良かったので希望しました。総合病棟ではいろいろな病気を持つ患者様を受持ち、1年目はとにかく大忙し。2年目になると少し余裕が出てきて、希望すればけっこう自由に任せてもらえます。指導医や先輩たちが手取り足取りするのではなく、まずやってみろという感じ。逆にいうと、自分で考えて判断しないと物事が先に進まないことになります。